はじめに
皆さんは冬キャンプの服装はどうしていますか?
ヒートテック、フリース、ダウンジャケット・・・
最近はモバイルバッテリーを繋いで発熱するヒートジャケット(電熱ジャケットや電熱ベスト)も流行っていますね。
私も、今までは割とアウターに近いところで服装に気を使い、ダウンジャケットや起毛フリースなどで寒さ対策をしてきましたが、最近気づいたのは、冬キャンプで重要なのは、「インナーの種類」と「暖かく眠れること」。
それでまったく疲労感が違うことや、キャンプの楽しさが変わる、ということでした。
そこで今シーズンは、冬のアウトドアで暖かく快適に過ごすため、肌着から見直していきたいと思います。
レイヤリング
「冬キャンプ 服装」や「ダウンシュラフ 寝る時 服装」などでネット検索してみるのですが、寒さ・暑さの感じ方は個人差や男女差もあり、なかなか「これ!」という正解を見つけるのが難しいと思います。
かといって、車の積載にも限界があるので、保険的に衣服をたくさん持って行けないし・・・
そこで参考にしたのが、登山の服装です。
登山の服装の基本は「レイヤリング」と言われます。
※レイヤー:階層または層
地形の高低や変わりやすい山の天候に対応でき、かつ、荷物を必要最小限に。それは平地キャンプにもぜひ真似すべき考え方だと思いました。
レイヤリングは、主に、
①直接肌に触れる肌着「ベースレイヤー」
②保温性を確保しつつ快適に、ドライを保つ「ミドルレイヤー」
③風・雨・雪などから体を守る「アウターレイヤー」
この3層が基本となり、そこに重ね着が加わります。
キャンプ中は設営・撤収で動いたり、調理や焚き火で火の暖かさを感じたりも出来ますが、平地キャンプでも寝る時は氷点下前後になることも多く、いくらハイスペックなシュラフやマット、コットを使ったとしても、ダウンが体重でつぶれる下側からの底冷えや、足元の空間の冷えが原因で眠れなくなることを何度も経験してきました。
ダウンシュラフで寝る時の服装に悩む
よく「ダウンシュラフに入る時は、肌着のみに近い服装が一番暖かい」と目にしたことはありませんか?
ダウンシュラフはご存じのように「ダウンに体温を伝えることで羽が開き、膨らんだロフト内の空気が暖まる」ことで保温性が発揮されます。
「 ダウンシュラフに入る時は、肌着のみに近い服装が一番暖かい 」というのは、このダウンの特長を活かすために必要なことですが、実際に氷点下で、肌着(ヒートテック上下)のみで寝てみると、とても寒くて眠れませんでした。
※体格や筋肉量など個人差や、ダウン量などにより違いがあります。
そこで登山の場合の寝る時の服装を調べると、ベースレイヤーまで薄着になってしまうと、シュラフの出入りで寒くなってしまうので、「アウターレイヤーを脱いだ服装(ベースレイヤーとミドルレイヤー)で寝る」というのが定説のようです。
※気温や状況によりそうでない場合ももちろんあります。
NANGA(ナンガ)さんに相談
国内生産、永久保証で有名なシュラフメーカーNANGA(ナンガ)さんに推奨される服装をお伺いしました。
Q:「ダウンシュラフに入る時には肌着のみに近い服装で、体温を遮断しないように」と言われますが、貴社で推奨するのはどういう服装でしょうか?
A:ご自身の体温と羽毛とで寝袋の中をあたためていきますので体温が遮断されない生地でしたらなんでも構わないかと存じます。肌着の上になにも重ね着されないと寒いかと思いますので「暖かいと実感できる」上着等をご試着ください。
また、シュラフの足元は空間が空き、冷えやすいので薄い毛布を詰めたり、湯たんぽを使うなどして暖かくしてください。
ということでした。
「暖かいと実感できる」 というのがポイントですね。
足元は私も冷えを感じると快眠できないので、テントシューズを履くことで解決できました。
テントシューズ、おすすめです。
※シュラフの利用温度帯の目安となるEN(ヨーロピアン・ノーム)も、我々アジア人と比べて筋肉量の多い西洋人がベースになっている基準なので、よくアウトドア専門店で言われるのも「シュラフに表記の対応温度にプラス10度が妥当」というのもうなづけます。
ヒートテックの長所と短所
ヒートテックはユニクロと東レが開発したレーヨンを含む化学繊維で、体から出た水分(汗や水蒸気など)を吸湿し、その水蒸気が水に変わる時に発生する「凝縮熱」を利用し、発熱する「吸湿発熱」という原理を利用しているものです。
昔から「着ると暖かくなる」素材のインナーはあったと思いますが、2003年、ユニクロのヒートテック発売により、一気に認知が浸透した気がします。
ヒートテックは何といっても、「安いのに暖かい」。
機能性が高い衣服は高価なので、ヒートテックの登場は衝撃的でした。
しかし、このレーヨン系の素材は水を貯めこむために速乾性が低く、最初は汗から発熱して暖かいけれど、吸湿しきれなくなった水分が冷えてくると体温を奪ってしまう、という弱点もあります。
また、その高い吸湿性で、乾燥肌になってしまう人もいるようです。
そうはいっても、入手のしやすさ、お手頃プライス、ファッションに合わせて選べるバリエーションがあるヒートテックは、すっかり冬の定番となりました。
その後、エクストラウォーム(極暖)シリーズやウルトラウォーム(超極暖)シリーズなど、素材のアップデートを重ねながら、進化していますので、毎年買い直す、買い足す方も多いのではないかと思います。
平地キャンプのベースレイヤーにもおすすめ「メリノウール」
「メリノウール」は、オーストラリアやニュージーランドで飼育されているメリノ種という羊の毛のことです。
ウールは天然の多機能素材と言われ、保温性が高く、中でもメリノウールは羊毛の中で最も高級な一品とされています。
登山のベースレイヤーにはこのメリノウールのものが多いのですが、その理由は、
・着た瞬間から暖かく、保温性が高い
・通気性が良く、肌をドライに保つ
・緩やかに乾くから、汗冷えしにくい
・抗菌・防臭に優れている
・火に強い
・乾燥肌になりにくい
というものです。
雪山で遭難したグループで明暗を分けたのが、インナーにメリノウールを着用していたか、いなかったか、なんて話もあるくらい、登山では重要なアイテムになっているそうです。
快適な冬キャンプライフのために、ぜひメリノウールを取り入れなければ、と思い、数々の優れた登山用品を開発・販売されているモンベルさんのラインナップを見たところ、「スーパーメリノウール」という素材で商品を展開されていました。
「スーパーメリノウール」は天然素材であるメリノウールに加え、ポリエステルやポリウレタンなどを混紡し、より発熱性を高く、余分な水分を逃がし、伸縮性で着心地もアップさせている素材となっているそうです。
また、「ジオライン」というポリエステル100%の発熱インナーも販売されています。
mont-bell(モンベル)さんに相談
そこでmont-bell(モンベル)さんにキャンプの場合は天然素材と化繊のどちらが向いているか、お伺いしました。
Q:主に平地キャンプでのインナーにはスーパーメリノウールかジオライン、どちらが向いているでしょうか?
A:保温性の面で、スポーツなど動いて汗をかくことで発熱、かつ汗の拡散性に優れた化繊素材が向いていますが、動きが少ない時間も多いキャンプには、着た瞬間から暖かく、着ているだけでも暖かさを実感できるメリノウールがおすすめです。
ということでした。
また、登山と同じく、お風呂やシャワーなどの利用がなく、着替えも最小限となるキャンプも、速乾性や防臭性にも優れたメリノウールがおすすめ、とのこと。
やはり主にアウトドアに向いているのはメリノウール、ということなのですね。
さらに、毛玉や穴あきなどの対策で耐久性を持たせた、化繊とのハイブリッドであるスーパーメリノウールは最適といえます。
mont-bell(モンベル) 「スーパーメリノウール」のバリエーション
モンベル「スーパーメリノウール」商品には、
・薄手/ライトウエイト
・中厚手/ミドルウエイト
・厚手/エクスペディション
の3タイプがあります。
また、それぞれの素材で、
・ラウンドネック
・Uネック
・タートルネック
・ハイネック
・長袖
・半袖
・タイツ
・ショーツ
など、バリエーションがありますので、登山であれば標高により厚さや重ねる枚数で調整したり、が可能です。
登山のレイヤリング、ぜひ平地キャンプでも取り入れたいテクニックです。
モンベルさんのアドバイスによると、
「薄手は夏のハイキングにもご利用いただけるくらいの厚さなので、正直、冬場はそれだけでは暖かさは感じられないと思います。単独使いされる場合の冬のおすすめは”中厚手”以上となります。レイヤリングで上に重ね着をされる着方でしたらご利用可能です。」
「上半身は動いたり、内臓もあり食事をしたりで発熱して暖かさを感じやすいのですが、下半身はそういう変化が少ないので、中厚手や厚手の素材でしっかり防寒していただくのがよろしいと思います。」
ということで、とてもためになるご意見をいただけました。
もちろん他のアウトドアブランドからもメリノウール商品は発売されています。
ラパサ(Lapasa)というブランドもネットで評判のようで、Amazonや楽天でも購入できます。
まとめ
・動きの少ないキャンプには、化繊インナーより、メリノウールのベースレイヤーがおすすめ。
・寒さ、気温によって、ベースレイヤーとミドルレイヤーを着る枚数で調節する。
・シュラフ(寝袋)で寝る服装は、肌着のみと無理をせず、体温を遮断しない生地の服装で、暖かいと感じる格好でシュラフに入る。
おわりに
これまで冬キャンプの寒さ対策というと、ダウン量の多いアウターやシュラフ、電気毛布やポータブル電源、灯油ストーブなど、流行りのキャンプスタイルやキャンプギアに目が行きがちでしたが、ひと通りギアが揃って快適にキャンプが出来つつある今、改めて「暖房器具が故障したらどうする?」「オートキャンプじゃない場所で安全にキャンプするには?」と初心にかえって、今回は素肌に一番近い衣服から見直してみました。
主に家族でファミリーキャンプ、または、グループキャンプを楽しんでいます。 キャンプも動画もまだまだビギナーで、ほかのYouTube動画で勉強させていただいています。 このチャンネルでは、諸先輩たちから学んだことを、 これからキャンプを始められる方に向けて、 お役立ちいただけそうなことをお届けしてまいります。 よろしくお願いいたします。
ご覧いただき、ありがとうございました。 少しでも参考になりましたら幸いです。
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